体外診断用医薬品を製造販売するには、体外診断用医薬品製造販売業許可の取得が必要となります。
本記事では製造販売業の許可に関連する法令の条文を確認しながら、
- 誰の許可を受ければいいの?
- 製品ごとに許可が必要なの?
などなどの疑問を解決できるように解説していきたいと思います。
なお、「製造販売」の定義については、こちらの 「製造販売」の意味を詳しく解説! にて解説していますので、あわせてご覧いただければと思います。
製造販売業の許可とは?
体外診断用医薬品製造販売業許可とは、体外診断用医薬品を業として製造販売するために取得しなければならない許可です。
しばしば「業として」の解釈について話題があがったりしますが、
「会社が体外診断用医薬品を製造販売するために必要不可欠な許可」
と理解しておけばとりあえずは大丈夫かと思います。
医薬品医療機器等法の条文
早速ですが、まずは法令の条文をご紹介します。
「体外診断用医薬品製造販売業許可」に関する内容は医薬品医療機器等法の<第23条の2第1項>に規定されています。
(製造販売業の許可)
<第23条の2第1項>
次の表の上欄に掲げる医療機器又は体外診断用医薬品の種類に応じ、それぞれ同表の下欄に定める厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医療機器又は体外診断用医薬品の製造販売をしてはならない。
医療機器又は体外診断用医薬品の種類(上欄) | 許可の種類(下欄) |
高度管理医療機器 | 第一種医療機器製造販売業許可 |
管理医療機器 | 第二種医療機器製造販売業許可 |
一般医療機器 | 第三種医療機器製造販売業許可 |
体外診断用医薬品 | 体外診断用医薬品製造販売業許可 |
条文を簡単に解釈すると、
許可を受けた者のみが体外診断用医薬品を製造販売ができますよ〜
ということを言っています。
許可のみなし規定
医療機器の場合、第一種医療機器製造販売業許可を取得すれば第二種および第三種医療機器製造販売業許可を、
第二種医療機器製造販売許可を取得すれば第三種医療機器製造販売業許可を受けたものとみなされます。
上位の許可を取得すれば、下位の許可を受けたものとみなされるということですね。
製造販売する医療機器の種類 | 必要な許可の種類 |
高度管理医療機器 管理医療機器 一般医療機器 | 第一種医療機器製造販売業許可 |
管理医療機器 一般医療機器 | 第二種医療機器製造販売業許可 |
一般医療機器 | 第三種医療機器製造販売業許可 |
「大は小を兼ねる」的な感じですね。
体外診断用医薬品にも同様の「みなしルール」はあるでしょうか?
体外診断用医薬品は、医薬品です。
医薬品の製造販売業の許可を取得すれば、体外診断用医薬品も製造販売することができるのでしょうか?
答えは、Noです。
医療機器の場合には、医薬品医療機器等法施行令第37条の6で、上位許可による下位許可の「みなしルール」が定められていますが、
体外診断用医薬品については、このような「みなしルール」は法令中で認められていません。
既に医薬品の製造販売業の許可を取得している企業が新たに体外診断用医薬品の製造販売をする場合にも、体外診断用医薬品製造販売業許可の取得は必須となっています。
製造販売業の許可
誰の許可を受ければいいの?
さて、誰の許可を受けるかということですが、条文には既に「厚生労働大臣」と書かれていますね。
しかしながら実際には「都道府県知事」が許可をしています。
なぜでしょうか?
政令により許可の権限が都道府県知事に委任されているためです。
製造販売業の許可については「都道府県知事」の許可を受けることとなります。
体外診断用医薬品に係る次に掲げる厚生労働大臣の権限に属する事務は、第一号に掲げる権限に属する事務については総括製造販売責任者がその業務を行う事務所の所在地の都道府県知事が行うこととする。
平成25年政令269号による改正後の医薬品医療機器等法施行令第80条第3項(平成26年11月26日施行)
ー 法第23条の2第1項に規定する権限に属する事務のうち、人のために使用されることが目的とされている体外診断用医薬品の製造販売に係るもの
原文は 総務省 e-gov法令検索 でご確認いただけます。
だいぶややこしく書かれていますが、
- 製造販売業の許可に関する事務は都道府県知事がおこないますよ〜
- どこの知事かというと総括製造販売責任者が勤務する事務所がある都道府県の知事ですよ〜
ということが書かれています。
製品ごとに許可が必要なの?
薬剤師国家試験の過去問でもよく見かけました。
・品目ごとに受けなければならない。
・区分ごとに受けなければならない。
・種類に応じて受けなければならない。
選択肢によく惑わされたものです。
さて、本題に入りましょう。
製造販売業の許可は、製品(品目)ごとに必要なのでしょうか?
答えから行くと、「NO(ノー)」です。
条文をよくよ~く読むと、「~の種類に応じ」という言葉で表現されています。
同じ条に規定されている医療機器の例をみるとわかりやすいのですが、
医療機器の場合は、「高度管理医療機器」「管理医療機器」「一般医療機器」という3つの種類があり、それぞれの種類に応じて業許可を取得します。
同じ考え方で体外診断用医薬品について見てみると、
「体外診断用医薬品」という1つの種類しかありませんが、「体外診断用医薬品」という種類に応じて「体外診断用医薬品製造販売業許可」を取得します。
つまり、体外診断用医薬品を製造販売するときには、
製造販売する体外診断用医薬品の製品(品目)の数に関係なく、
「体外診断用医薬品製造販売業許可」をひとつ取得すればいいということになります。
「AAA診断薬」という製品(品目)であっても
「体外診BBB」という製品(品目)であっても
「体外診断用医薬品製造販売業許可」ひとつでOKです。
なお、似たような話で、体外診断用医薬品の「製造販売の承認」というものもあります。
「製造販売の承認」については、製品(品目)ごとに受ける必要がありますので混同しないようにご注意ください。
もちろん例外はありますが、はじめのうちは
- 製造販売業許可はひとつだけ
- 製造販売承認は製品(品目)ごと
と覚えてしまうのが手っ取り早いでしょう。
まとめ
本記事では製造販売業の許可について、実際の法令を見ながら確認してきました。
- 製造販売業の許可は都道府県知事から受けること
- 製品の数に関係なく、許可はひとつでOKなこと
ぜひ覚えていっていただければと思います。
お読みいただきありがとうございました!
それでは、また!
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