製造販売業者は、末端ユーザーに対して体外診断用医薬品を直接、販売・授与することはできません。
体外診断用医薬品を末端ユーザーに販売、授与する際には、製造販売業者自身が医薬品販売業許可を取得するかまたは、医薬品販売業許可を持つ業者を通して販売、授与しなければなりません。
製造販売業者と末端ユーザーの間には、必ず医薬品販売業許可がかかわってきます。
では、製造販売業者と末端ユーザーが同じである場合はどうでしょうか。
例えば、自社(製造販売業者)で市場出荷判定した体外診断用医薬品を、自社の登録衛生検査所で使用するといったケースが考えられますね。
こういったケースでも、医薬品販売許可を間に挟む必要があるのでしょうか?
この点について、行政に問い合わせをする機会がありましたので、備忘録的にまとめてみたいと思います。
問い合わせをした内容
行政に問い合わせた内容は次の2点です。(記事に起こすために一部修正しています。)
同社において次の許可・登録を有している場合について下記ご教授いただけますでしょうか。
・体外診断用医薬品製造販売業(医薬品医療機器等法)
・登録衛生検査所(臨床検査技師等に関する法律)
①製造販売業の主たる事業所と登録衛生検査所が同一所在地にある場合、製造販売業者にて市場出荷判定後の体外診断用医薬品を登録衛生検査所でその検査業務に使用する際、医薬品販売業許可の取得は必要でしょうか?
②製造販売業の主たる事業所と登録衛生検査所が非同一所在地にある場合、製造販売業者にて市場出荷判定後の体外診断用医薬品を登録衛生検査所でその検査業務に使用する際、医薬品販売業許可の取得は必要でしょうか?
自社で市場出荷判定した体外診断用医薬品を自社の登録衛生検査所で使用する場合に、医薬品販売業許可を間に挟む必要があるのかどうか、問い合わせをしました。
また、製造販売業の主たる事業所と登録製造所の住所が違うときの場合についても問い合わせをしてみました。
行政からの回答
午前中に問い合わせフォームを送信したところ、その日の午後イチに回答のお電話をいただけました。
さすがですね。スピーディなご対応に感謝申し上げます。
で、肝心の回答ですが、次のようにご回答いただきました。 (記事に起こすために一部修正しています。)
(①、②あわせて)
同一法人内での使用であるならば医薬品販売業許可を取得する必要はありません。
なお、同一グループ会社内の異なる法人間でのやり取りの場合には医薬品販売業の許可が必要です。
はい、ということで、結果としては
「自社で市場出荷判定した体外診断用医薬品を、自社の登録衛生検査所で使用する場合には、医薬品販売業許可の取得は必要ない。」
ということでした。
回答いただいた内容によると、どうやら「同一所在地であるかどうか」よりも「同一法人であるかどうか」の方がポイントのようです。
同一法人内の製品の受け渡しであれば、「販売・授与」ではなく「社内移動」とみなされるということでしょうか。
なお、同一グループ会社の場合は、各法人は別個とみなされるということなのか、医薬品販売業許可が必要になるとのことです(下図3)。
まとめ
以上、製造販売業者とエンドユーザーが同じ場合の医薬品販売業許可の要否についてのまとめでした。
行政からの回答によると、「同一法人内の受け渡し」であれば、「同一所在地であるかどうかにかかわらず」医薬品販売業許可の取得は不要のようです。
一方で同一グループ内であっても、他法人間での受け渡しにあっては、医薬品製造業許可の取得が必要となるようです。
以上です!ありがとうございました!
<免責>
本ページは実際に行った問い合わせに基づいて作成していますが、意図しない筆者の主観が入りこんでいる可能性があります。情報の真偽については鵜呑みにせず、必ず管轄する各都道府県の衛生主管部薬務主管課にご確認ください。
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