こんにちは、ジンです。
先日の内閣改造により厚生労働大臣が変わってしまいましたねー。
私は加藤勝信さんから薬剤師免許証の交付を受けましたので
ちょっぴり寂しい気持ちです。
そんな話はさておき、本ページでは、2023年9月1日付けの厚生労働省組織再編についてご紹介します。
「厚生労働省組織令及び食料・農業・農村政策審議会令の一部を改正する政令」により、2023年9月1日から厚生労働省の組織が一部変更されました。
厚生労働省組織令及び食料・農業・農村政策審議会令の一部を改正する政令
(令和5年政令第263号、公布日:2023年8月30日)
本改正では、感染症対策本部の設置や、「(旧)医薬・生活衛生局」から「健康・生活衛生局」への業務移管といった組織再編が実施されたようです。
我々下々の者からしたら「へ―そうなんだー」的な感じですが、情報収集がてらまとめてみました。
体外診断用医薬品関係では一部通知の読み替え等が発生しますが、運用方法には大きな変更はないようです。
何が変わったのか?
今回の組織再編では、大きく分けて次の2つの変更があります。
- 感染症対策部の設置
- 生活衛生、食品、水道関係の業務を「(旧)医薬・生活衛生局」から「健康・生活衛生局」に移管
ひとつずつ見ていきましょう。
感染症対策部の設置
これまで厚生労働省では、海外感染症に対する検疫所を運営管理する検疫業務課が「(旧)医薬・生活衛生局」にあったり、感染症対策やワクチン接種に関する部署が「(旧)健康局」にあったりと、感染症に対応する部署が省内部で別々に分かれていました。
今回のCOVID-19のように、海外からの感染症の流入を監視しつつ(検疫)、国内の感染拡大を防止し(感染症対策)、ワクチン接種を推進していく(予防接種)なんて事態になった場合に、部署が分かれていたのでは連携が上手くいきません。
そこで今回の組織再編では、「健康・生活衛生局」の中に「感染症対策部」を設置し、感染症対策に関係する業務を集約化することで、感染症対策に関して迅速で連携のとれた対応ができるようにしました。
「企画・検疫課」には、もともと「(旧)結核感染症課」で行われていた検疫業務と「(旧)検疫所業務課」で行われていた業務が移管されました。
また、感染症対策部が設置されたということで、感染症対策部内の業務に関する総合調整等も「企画・検疫課」の業務になっています。
検疫業務も実施しつつ、総務課のような”何でも屋”的な役割もあるということですね。
「感染症対策課」には、これまで「(旧)結核感染症課」が行っていた、エイズや結核その他の感染症の発生やまん延の防止に関する業務や、感染症の患者に対する医療に関する業務が移管されました。
また、「感染症対策課」の中に「感染症情報管理室」を設置し、感染症対策課の業務に関する情報の管理がされることになりました。
感染症に関する様々な情報を蓄積し、すぐに利用できるように情報を管理しておけば、迅速で的確な感染症対策が実施できますね。
「予防接種課」には、これまで参事官(予防接種担当)が行っていた、予防接種の実施に関する業務や、ワクチンの生産・流通の増進に関する業務が移管されました。
生活衛生、食品、水道関係の業務の移管
「(旧)医薬・生活衛生局」で行われていた生活衛生、食品、水道関係の業務が「(旧)健康局」へ移管されました。この業務移管に伴い、各局の名前が変更になっています。
- 「(旧)医薬・生活衛生局」→「医薬局」
- 「(旧)健康局」→「健康・生活衛生局」
「(旧)医薬・生活衛生局」に存在していた「(旧)生活衛生・食品安全企画課」が廃止され、また、次の4つの課が「(旧)医薬・生活衛生局」から「健康・生活衛生局」に移動しました。
- 食品基準審査課
- 食品監視安全課
- 生活衛生課
- 水道課
廃止された「(旧)生活衛生・食品安全企画課」が行っていた業務は、それぞれ次のように移管されています。
- 製菓衛生師に関する業務は「総務課」へ
- 健康・生活衛生局が行う食品の安全性の確保に関する国際関係の連絡調整業務は「食品基準審査課」へ
- 食品の安全に関するリスクコミュニケーションに関する業務は「食品監視安全課」へ
2023年9月1日版、厚生労働省組織図
2023年9月1日現在の厚生労働省組織図を作成してみました。
※組織が大きいため、字が小さくなってしまっています。画像をクリック&拡大してご覧いただければと思います。
過去に発出された通知の取り扱いは?
今回の組織再編に伴い、局や課の名前が変更になっています。
これまでに「(旧)健康局」「(旧)医薬・生活衛生局」から発出された通知についての取り扱いが示されています。
前職発出の通知は、現職発出のものとみなす
まず、組織再編前に発出された各職による通知は、別途の通知が発出されるまでの間は、組織再編後の各職の発出による通知とみなして、その効力が維持されます。
例えば、体外診断用医薬品関係でいうと、「体外診断用医薬品の製造販売承認申請について」(平成28年2月22日付け薬生発0222第5号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)という通知があります。
この通知は、平成28年に当時の「医薬・生活衛生局長」が発出した通知ですが、2023年9月1日以降は「医薬局長」が発出したものとして引き続き効力が維持されます。
ただし、通知の発出者が「医薬・生活衛生局長」から「医薬局長」に変わるわけではありません。
あくまで通知の発出者は「医薬・生活衛生局長」のままですが、組織再編後も通知の効力が失われないように「医薬局長」が発出したものとみなされるということです。
各局長、課長が発出した通知や事務連絡は数えきれないくらい沢山あります。そのひとつずつを修正していくのは面倒ですので、このような「みなし」という合理的な措置をとっています。
通知中の前組織名・前職名は、現組織名・現職名とみなす
これまで発出された通知の中には、組織再編前の組織名や職名が記載されているものもあります。
組織再編前に発出された通知中の組織名や職名については、通知が改正されるまでの間、組織再編後の組織名や職名とみなして取り扱われます。
例えば体外診断用医薬品関係でいうと、「優先審査等の取扱いについて」という通知に次のような記載があります。
…厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課(以下「医薬品審査管理課」という。)は当該報告をもとに適用の可否を決定すること。
「優先審査等の取扱いについて」令和2年8月31日 薬生薬審発0831第1号 薬生機審発 0831 第1号
原文は 厚生労働省法令等データベースサービス でご確認いただけます。
ここでは「厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課」という組織名が登場していますが、2023年9月1日以降は「厚生労働省医薬局医薬品審査管理課」とみなして運用されることになります。
組織名や職名の「みなし」についてもあくまで「みなし」であって、通知の記載自体が修正されるわけではありません。
省エネに、合理的に、ですね。
通知「医薬品等の製造業許可事務等の取扱いについて」の改正
上記のとおり、通知が改正されるまでの間は「みなし」運用が実施されますが、さっそく改正された通知が2つありますのでご紹介して本ページを終わりたいと思います。
1つ目は「医薬品等の製造業許可事務等の取扱いについて」の改正です。
によって、「医薬品等の製造業許可事務等の取扱いについて」(令和3年4月26日付け薬生薬審発0426第6号 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)に示されている一部の様式が改正されました。
改正された様式は次の3つです。
いずれの様式も、変更点は組織再編による組織名の変更のみです。
通知「輸出用医薬品、輸出用医療機器等の証明書の発給について」の改正
2つ目は「輸出用医薬品、輸出用医療機器等の証明書の発給について」の改正です。
体外診断用医薬品を外国に輸出するときに、証明書の発行を外国から求められることがあります。その証明書の様式や申請書の様式が改正されました。
によって、「医薬品等の製造業許可事務等の取扱いについて」(令和3年4月26日付け薬生発0802第4号 厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)に示されている一部の様式が改正されました。
改正された体外診断用医薬品関連の様式は13個あります。(体外診断用医薬品以外の製品に関連する様式を合わせるともっとたくさんあります。
改正後の様式の一覧はPMDAホームページに掲載されていますのでご確認ください。
いずれの様式も、変更点は組織再編による組織名の変更のみです。
現時点で分かっていることは以上です。
また、新たな情報があれば更新したいと思います。
余談:8年前の組織再編
時は2015年10月1日、当時の厚生労働省は組織再編を実施しました。
その内容は「健康・生活衛生局」から「医薬食品局」に、生活衛生に関する業務を移管するというものでした。
業務移管の結果、次のように部署名が変わりました。
- 「健康・生活衛生局」→「健康局」
- 「医薬食品局」→「医薬・生活衛生局」
あれ?8年前の再編では今回とは逆のことをやってるのかい?
そうですねー、8年間実施してみて
「やっぱり前の方がいいや」となったのですかね~
以上です。
※行政の仕事は実際には「事務」と呼ばれていますが、本ページでは「業務」と記載しています。
お読みいただきありがとうございました。
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