こんにちは、ジンです。
先日、体外診断用医薬品外国製造業者の登録更新のお手伝いをしましたので、そのとき実施したことを備忘録的に残したいと思います。
流れとしては、次のような感じで進めました。
- 更新意思の確認と登録証原本の返送依頼
- 更新手数料の確認と印紙の購入
- 変更の有無と申請データの作成
- 申請資料を整えて申請(電磁的記録媒体申請「旧FD申請」)
- 登録証の受領と外国製造所への転送
更新意思の確認と登録証原本の返送依頼
まずはじめに、外国製造業者の更新意思を確認しました。外国製造業登録自体は外国製造業者自身の責任によるものですので、関係する製造販売業者が勝手に更新申請してしまうのはよろしくありません。
ただ一方で、外国製造業者が更新しない意思を示した場合、その外国製造業者がかかわっている製品が製造販売できなくなり、困ったことになってしまいますので、確認の仕方が大切です。
また、私自身は、「登録は外国製造業者のものであり登録証原本も外国製造業者の所有物である」という考え方ですので、登録証原本は外国製造業者に自分で保管してもらっています。
登録の更新申請をするには登録証原本の添付が必要である旨を伝え、原本の返送を依頼しました。主要国であればFedExさんのサービスを使うと最短1~3営業日で受け取ることができるため、お急ぎの場合にはおすすめです。
更新手数料の確認と印紙の購入
体外診断用医薬品外国製造業者登録の更新を申請する者は、更新手数料を収めなければなりません。(医薬品医療機器等法)
第78条(手数料)
次の各号に掲げる者(厚生労働大臣に対して申請する者に限る。)は、それぞれ当該各号の申請に対する審査に要する実費の額を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第78条第1項
11 第23条の2の3第3項(第23条の2の4第1項において準用する場合を含む。)の登録の更新を申請する者
原文は 総務省 e-Gov法令検索 でご確認いただけます。
また、手数料の額は、23,400円と定められています。(医薬品医療機器等法関係手数料令)
第11条(医療機器及び体外診断用医薬品の製造業の登録の更新の申請に係る手数料の額)
法第78条第1項第11号に掲げる者が同項の規定により国に納めなければならない手数料の額は、次の各号に掲げる登録の更新の区分に応じ、当該各号に定める額とする。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係手数料令 第11条第1号
1 外国における本邦に輸出される医療機器又は体外診断用医薬品の製造に係る登録の更新(第3号に掲げるものを除く。)二万三千四百円
原文は 総務省 e-Gov法令検索 でご確認いただけます。
そして、手数料は、申請書に収入印紙を貼る方法で納めなければなりません。
第1条(手数料の納付方法)
1 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」という。)第78条第1項に規定する手数料は、申請書(厚生労働大臣に提出するものに限る。)にその申請に係る手数料の額に相当する額の収入印紙を貼って納付しなければならない。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係手数料規則 第1条第1項
原文は 総務省 e-Gov法令検索 でご確認いただけます。
都道府県の収入証紙ではなく、国の収入印紙です。
くれぐれもお間違えの無いように!
収入印紙は、郵便局やコンビニ、法務局などで購入可能です。
コンビニでは基本的に、額面200円の収入印紙しか販売していませんので、全国どこでも約23,000か所ある郵便局で購入するとよいでしょう。
郵便局では「郵便窓口」または「ゆうゆう窓口」で収入印紙を購入することができます。「貯金窓口」や「保険窓口」では購入できませんので注意しましょう。
コンビニで200円印紙を117枚買って、申請書に…
それは迷惑なのでやめてください。
なお、医薬品医療機器等法で定められている通り、更新手数料は「登録の更新を申請する者」が納めるべきものです。今回の場合は、外国製造業者が納めるべきものですので、基本的には外国製造業者に費用を負担してもらうことになります。
ただ一方で、外国製造業者に収入印紙を直接購入させることは現実的ではないため、申請を代行をする日本企業の方で一時的に負担し、後日請求することになります。(事前請求が確実と思います。)
また、外国製造業者と国内製造販売業者との関係性やパワーバランスにより、本来外国製造業者が納めるべき手数料を実質的に国内製造販売業者が負担しているケースもあるようです。業登録や更新にかかる費用についても、外国製造業者との取決めの中で明確にしておくとよいでしょう。
変更の有無と申請データの作成
収入印紙の購入を経理部門に依頼すると、弊社の場合2~3日かかりますので、その間に申請資料を準備します。
申請データを作成するにあたり、まずは、現在の登録情報に変更がないかどうかを外国製造業者に確認します。
次の情報に変更がある場合には、更新申請の前に変更届出をしなければなりません。なお、電磁的記録媒体申請(旧FD申請)をする場合には、変更届出と更新申請を同時に行う(同封して送付する)ことは可能ですので、変更届出書類も作成しましょう。
- 外国製造業者の氏名および住所
- 製造所の責任者の氏名および住所
- 薬事に関する業務に責任を有する役員の氏名(法人の場合)
- 製造所の名称
- 当該許可の区分および許可番号、当該認定の区分および認定番号または当該登録の登録番号(他の製造業の許可、認定若しくは登録を受けたまたはその製造所を廃止した場合)
登録情報に変更がないことが確認できたら(変更がある場合は変更届出書類を作成したら)、更新申請書類を作成します。外国製造業登録更新申請は、紙による申請、電磁的記録媒体申請(旧FD申請)、オンライン申請の3つの方法で行うことができます。
私はまだ電子証明を取得していないので、
電磁的記録媒体申請(旧FD申請)で更新申請します。
電磁的記録媒体申請(旧FD申請)またはオンライン申請で行う場合、医薬品等電子申請ソフトを用いて申請データを作成します。申請データの作成方法については、こちらのページでご紹介していますので参考にしてください。
申請資料を整えて申請(電磁的記録媒体申請(旧FD申請))
電磁的記録媒体申請(旧FD申請)の場合、必要な書類は次の通りです。
- 更新申請書(鑑、DTD) 正副計2部
- 申請データを出力した電磁的記録媒体(CDなど) 1枚
- 登録証の原本 1枚
- 製造所の場所を明らかにした図面 1枚
- 受付票を返送してもらうための封筒 1通
- 更新後の新しい登録証を返送してもらうための封筒 1通
- <任意>「申請書控えに機構受付印を押印したもの」が必要な場合は、申請書鑑 1枚
漏れなく準備しましょう。
提出窓口は、PMDAです。体外診断用医薬品の場合、宛先は次の通りです。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構 審査業務部 業務第二課
〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル6階
電話:03-3506-9509(ダイヤルイン)
更新申請書(鑑、DTD) 正副計2部
体外診断用医薬品外国製造業者登録更新申請では、更新申請書を正副あわせて2部提出しなければなりません。
ここでいう更新申請書とは、次の2つを指します。
- 申請書鑑
- DTD(申請用提出データ形式一覧)
正本の申請書鑑には、空いているスペースに収入印紙を貼付します。更新申請書正本の空いているスペースであれば、貼付場所はどこでもOKです。医薬品等電子申請ソフトから出力される更新申請書鑑では、空いているスペースがとても少ないので貼り付け位置に迷いますが、右下の申請者名の下あたりに少しスペースがありますので、申請書の文字が隠れないように、収入印紙を貼付します。
なお、よく間違える方がいるようですが、申請書の収入印紙には消印してはいけません。領収証に印紙を貼る際には消印が義務付けられていることから、間違えて更新申請書でも同様に消印をしてしまうのでしょう。
確かに、印税法という法律では、印紙税の課税対象となる文書(領収証など)に印紙を貼り付けた場合には、その文書と印紙の両方に印がかかるように消印しなければならないことになっています。
課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。
印紙税法第8条第2項
ただし、今回は印紙税の納付ではなく、更新手数料の納付のために収入印紙を貼り付けていますので、印紙税法に従って消印してしまうのは誤りです。(更新申請書は課税文書には該当しませんので、印紙税は不要です。)
更新申請書に貼った収入印紙には消印をせずに提出します。
申請データを出力した電磁的記録媒体(CDなど)
医薬品等電子申請ソフトで作成した申請データを、電磁的記録媒体(CDなど)に出力します。提出数は1枚でOKです。
最近のノートパソコンはCDライターがついていなくて大変ですね。。
提出した電磁的記録媒体(CDなど)は、原則返却されませんのでご注意ください。
登録証の原本
外国製造業者登録更新更新申請では、登録証の原本の原本を添付して申請しなければなりません。基本的に原本は1部しかありませんので1部添付すればOKです。
外国製造業者が保管している場合には、返送してもらいます。
(製造業の登録の更新の申請)
医薬品医療機器等法第114条の16の規定による読み替え後の第114条の13
1 法第23条の2の4第2項において準用する法第23条の2の3第3項の医療機器等外国製造業者の登録の更新の申請は、様式第63の7による申請書を機構を経由して厚生労働大臣に提出することによつて行うものとする。
2 前項の申請書には、申請に係る登録の登録証を添えなければならない。
製造所の場所を明らかにした図面
添付する根拠法令が探せなかったのですが、PMDAホームページに記載があるので1部添付します。
「製造所の範囲が示され、周辺の道路など正確に状況が確認できるもの」を求められているので、製造所周辺の地図を用意し、製造所の範囲を赤枠で囲えばOKでしょう。
googleマップでOKです。
受付票を返送してもらうための封筒
電磁的記録媒体申請(旧FD申請)の場合、申請が受け付けられた証拠として、「受付票」が発行されます。
郵送等で申請する場合、受付票を返送してもらうための封筒が1通必要になります。返送用の封筒には、返送先の住所や宛名を記載し、切手を貼って提出しましょう。追跡可能なものが推奨されています。
窓口で申請する場合は受付票返送用封筒の添付は不要ですが、窓口での申請はあまり喜ばれませんので、郵送等で申請するようにしましょう。
更新後の新しい登録証を返送してもらうための封筒
申請後、約1~3か月程度で新しい登録証が発行されます。発行された登録証を送付してもらうための封筒を1通提出します。
返送用の封筒には、返送先の住所や宛名を記載し、切手を貼って提出しましょう。追跡可能なものが推奨されています。レターパックがおすすめです。「折り曲げ厳禁」等と記載しておくとよいでしょう。
終わりに
外国製造業者登録更新申請の手続きについては、以上となります。
必要な書類を添付し忘れていると、申請の受付がされません。PMDA担当者から、必要書類や送付期限について連絡がありますので、それに従って不足した書類を再度送付することになります。
時間も送料ももったいないですので、提出前に必要書類を再度確認し送付するようにしましょう。
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