医薬品医療機器等法では「保健衛生の向上を図ること」を目的として、医薬品等に関する様々な規制が行われています。
この規制に違反した場合には罰則が適用されます。
本ページでは医薬品医療機器等法の罰則のうち、
登録認証機関の役員や職員に対して賄賂を贈ったときに適用される罰則についてご紹介します。
いわゆる、贈賄罪のことですね。
登録認証機関職員が賄賂を受け取る罪(収賄罪)についてはこちらの記事をご参考にしてください。
医薬品医療機器等法の条文
登録認証機関の職員に対して賄賂を贈ったときに適用される罰則については、
医薬品医療機器等法の<第83条の7>に記載されています。
まずは法律の条文を確認してみましょう。
<第83条の7第1項>
前条第一項から第三項までに規定する賄賂を供与し、又はその申込み若しくは約束をした者は、三年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金に処する。
平成15年法律第102号第6号による改正後の平成14年法律第96号第2条による改正後の昭和35年法律第145号(2005年4月1日施行)
原文は 総務省 e-gov法令検索 でご確認いただけます。
概要だけさらってみると、
登録認証機関の職員に賄賂を贈ったら、3年以下の懲役又は250万円以下の罰金が科せられる。
ということですね。
【第1項】贈賄罪(3年以下の懲役又は250万円以下の罰金)
一応、詳しく見てみましょう。
「前条第一項から第三項までに規定する賄賂」とありますが、これはそれぞれ、
- 第1項の賄賂とは、認証機関職員の収賄罪における賄賂
- 第2項の賄賂とは、認証機関職員の事前収賄罪における賄賂
- 第3項の賄賂とは、認証機関職員の事後収賄罪における賄賂
を示しています。
認証機関職員に対する全ての賄賂が対象となるということです。
認証機関職員に対して、
- 賄賂を供与したり、
- 実際には供与していなくても賄賂を申し込んだり、
- 実際には供与していなくても賄賂の約束をしたり、
すると贈賄罪に問われ、しかるべき罰が下されます。
実際に贈っていなくても、約束をしただけで罪に問われる点に注意が必要ですね。
罰については「3年以下の懲役又は250万円以下の罰金」という風に規定されています。
罰金刑ですので、もしも薬剤師(私)が贈賄罪に問われたときには、
薬剤師法第8条の規定によって次の処罰を受けるかもしれません。
- 戒告
- 三年以内の業務の停止
- 免許の取消し
また、罰金刑を逃れたとしても、「薬事に関し犯罪又は不正の行為があつた者」または「薬剤師としての品位を損するような行為」ということで、
上記の処罰を受けるかもしれません。
薬剤師免許の取り消しとか、震えます。
【第2項】自首による刑の減免
この贈賄罪については、賄賂を贈る(贈った)側が自首した場合の減刑(または刑の免除)の規定が定められています。
<第83条の7第2項>
2 前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
平成15年法律第102号第6号による改正後の平成14年法律第96号第2条による改正後の昭和35年法律第145号(2005年4月1日施行)
原文は 総務省 e-gov法令検索 でご確認いただけます。
収賄罪、つまり、賄賂を受け取る(受け取った)側の罪については、自首による刑の減免規定がないのに対し、贈賄側の罰則は自首した者に対して優しく?なっています。
なんか、賄賂を贈る側の方が事件を公にしそうなイメージ
そうですね。事件が公になれば取り締まることができます。
だから自首を促すような規定があるのかもしれませんね。
まとめ
以上、本ページでは、
登録認証機関の役職員に対して賄賂を贈った(申し込んだ、約束した)ときの罰則についてご紹介しました。
自社の体外診断用医薬品の製造販売認証の口利きをしてもらうためであったり、
QMS適合性調査で不適合を見逃してもらうためであったり、
どんな理由があっても登録認証機関職員に賄賂を贈るなんてことはあってはなりません。
ぜひお気を付けください。
ありがとうございました!
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