もう悩まない!「製造販売」の意味を詳しく解説

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こんにちは、ジンです。

みなさん、「製造販売」という言葉の意味をご存知でしょうか?

薬事関係の世界に足を踏み入れたばかりの方は、先輩方の間で飛び交う業界用語の意味が理解できないことが多々あると思います。

かくいう私も診断薬業界に入りたての頃は、

  • 製造販売って何?
  • 製造や販売とどう違うの?
  • 製造も販売も両方できるの?

なぁんて疑問で頭がいっぱいでした。

そんな疑問にお答えできるように、今回の記事では診断薬業界における「製造販売」の意味について解説します。

医薬品や化粧品、医療機器等でも共通して使われる言葉ですので、この機会にぜひ「製造販売」について理解を深めましょう!

 

※以降の説明では「体外診断用医薬品」の「製造販売」にフォーカスして解説します。
※引用文や固有名称を除き「体外診断用医薬品」を便宜上「診断薬」と記載します。

製造販売とは

医薬品医療機器等法の定義

早速ですが「製造販売」という言葉は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」で定義されています。

この法律で「製造販売」とは、その製造(他に委託して製造をする場合を含み、他から委託を受けて製造をする場合を除く。以下「製造等」という。)をし、又は輸入をした医薬品(原薬たる医薬品を除く。)、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品を、それぞれ販売し、貸与し、若しくは授与し、又は医療機器プログラム(医療機器のうちプログラムであるものをいう。以下同じ。)を電気通信回線を通じて提供することをいう。

【引用】e-Gov法令検索 – 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

得てして法律というものは、かたっ苦しく書かれていて嫌になってしまいますが、1度理解してしまえばあとが楽ですので、張り切っていきましょう!

定義を簡略化

とはいえ少しごちゃごちゃしていますので、まずは医薬品、その中でも診断薬(体外診断用医薬品)について、上の文章を改変&簡略化してみます。

「製造販売」とは、体外診断用医薬品を、販売若しくは授与することをいう。

だいぶスッキリしすぎました(笑)

製造販売」とは、ある条件の診断薬販売または授与することをいいます。

 

「販売」と「授与」の違いはわかりますね??「販売」はお金と引き換えに製品を出荷することで、「授与」は無料で製品を出荷することです。

お金が絡むかどうかの違いはありますが、どちらも診断薬を出荷することに変わりはありません。

 

では、ある条件の診断薬とはどんなものなのでしょうか?

  • 輸入した診断薬
  • 自社で製造した診断薬
  • 委託して製造した診断薬

の3つの条件のうちどれか1つにあてはまる診断薬になります。(原薬は除かれています。)

輸入した診断薬(製造販売)

ひとつひとつ見ていきたいと思いますが、「輸入した診断薬」が一番わかりやすいと思います。

外国から診断薬を輸入して日本国内に出荷します。下の図1のようなイメージです。

図1.製造販売(輸入した診断薬を販売・授与)

外国から「輸入した診断薬」を日本国内に出荷(販売または授与)することを「製造販売」といいます。

自社で製造した診断薬(製造販売)

次に「自社で製造した診断薬」です。これも聞けば大体の方はイメージできると思います。図2のようなイメージです。

図2.製造販売(自社で製造した診断薬を販売・授与)

自社で製造した診断薬」を日本国内に出荷(販売または授与)することを「製造販売」といいます。

委託して製造した診断薬(製造販売)

少しややこしいのが、「委託して製造した診断薬」です。解説の前にまずは図3を見てみましょう。

図3.製造販売(委託して製造した診断薬を販売・授与)

図3は、A社がB社に製造を委託して、B社が製造している図です。B社が製造した診断薬をA社が国内に出荷(販売または授与)します。

A社の立場から見ると、「委託して製造した診断薬」を日本国内に出荷(販売または授与)しているので、「製造販売」です。

この図3では、A社の立場から診断薬の流れを見ています。

では、B社の立場から診断薬の流れを見るとどうなるでしょうか?

次で解説します。

委託を受けて製造した診断薬(製造販売ではない!)

上の図3では、A社の立場から診断薬の流れを考えましたが、次の図4ではB社の立場から考えてみます。

図4.製造販売ではない!(委託されて製造した診断薬を販売・授与)

B社の立場から診断薬の流れを見ると、委託を受けて製造した診断薬を、A社に対して販売または授与しています。

製造した診断薬を販売しているので、製造販売かな?と思ってしまいますが、B社の行為は製造販売とはいえません

 

医薬品医療機器等法の「製造販売」の定義では

他から委託を受けて製造をする場合を除く。

【引用】e-Gov法令検索 – 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

と明記されているためです。

そのため、B社が委託を受けて製造した診断薬をA社に販売・授与する行為は、「ただの販売、授与」ということになります。

「製造販売」するには?

診断薬を「製造販売」するには、何が必要なのでしょうか?

医薬品医療機器等法では次のように書かれています。

厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、業として、体外診断用医薬品の製造販売をしてはならない。

【抜粋引用】e-Gov法令検索 – 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

体外診断用医薬品の製造販売をしようとする者は、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

【抜粋引用】e-Gov法令検索 – 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

体外診断用医薬品の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての認証を受けなければならない。

【抜粋引用】e-Gov法令検索 – 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

体外診断用医薬品の製造販売をしようとするときは、あらかじめ、品目ごとに、厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。

【抜粋引用】e-Gov法令検索 – 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

条文に明記されているように、診断薬を「製造販売」をするには「体外診断用医薬品製造販売許可」を取得しなければなりません。

また、許可の取得に加えて、製品ごとに製造販売の承認、認証を受けるか、届け出をしなければなりません。

まとめ

製造販売」とは、

  • 輸入した診断薬
  • 自社で製造した診断薬
  • 委託して製造した診断薬

を、販売または授与することをいいます。

ただし、

委託を受けて製造した診断薬」を販売または授与することは、製造販売とはいいません

この場合は、ただの「販売または授与」となります。

 

 

ここまでは、医薬品医療機器等法上の正確な定義について解説してきました。

しかしながら、正直なところ、「製造販売」という言葉の正確な定義を問われる機会はあまり多くはありません。

現場レベルでは、「国内市場への出荷」で十分通用しますのでご安心ください(^ ^)

 

勉強のとっかかりとしては、

「製造販売」=国内市場への出荷

と覚えることで十分かと思います。

製造や販売との違い

さて、ここまでは「製造販売」の定義について確認してきました。

ここからは「製造」や「販売」について簡単に確認し「製造販売」との違いをみていきましょう。

製造とは

まずは、「製造」についてです。

「製造」とは、文字通り「製し(せいし)、造る(つくる)こと」です。

 

診断薬でいうと、例えば、

有効成分を容器に充填したり、構成部品を箱に詰めてキットにしたり…

というふうに、なんとなく想像がつきそうですね。

 

しかしながら、医薬品医療機器等法でいうところの「製造」は、これだけではありません。

意外なところでいえば、

  • 製品の設計開発
  • 輸入した医薬品の外国語表示を日本語に翻訳して再表示
  • 小分け(製品を解体して小分け包装)
  • 最終製品の保管

なども「製造」の範囲として扱われます。

 

 

診断薬を製造をするには、製造所ごとに登録を受けなければなりません

体外診断用医薬品の製造をしようとする者は、製造所ごとに、厚生労働大臣の登録を受けなければならない。

【抜粋引用】e-Gov法令検索 – 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

ただし、すべての製造所が登録を受ける必要はありません。

登録を受けなければならないのは、

イ 設計
ロ 反応系に関与する成分の最終製品への充填工程
ハ 国内における最終製品の保管

【抜粋引用】e-Gov法令検索 – 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則

の工程を担当する製造所のみです。(上記3つ以外の製造行為については製造所の登録は必要ありません。)

 

製造業の登録を受けると、診断薬の「設計、充填(主成分)、保管」の3つの製造行為が出来るようになります。

販売とは

「販売」とは、製品を売ることをいいます。

この「販売」には、お金と引き換えに医薬品を譲渡することだけでなく、無料で譲渡すること(授与)も含まれます。

 

診断薬は医薬品に分類されますので、

販売・授与したり、販売や授与の目的で保管・陳列をするには、医薬品の販売業の許可を取得する必要があります。

薬局開設者又は医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列してはならない。

【抜粋引用】e-Gov法令検索 – 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

ただし条文に記載があるように、薬局開設者(薬局)については販売業の許可を受けなくても診断薬を販売することができます。

 

医薬品の販売業には次の3種類があります。

  • 卸売販売業
  • 店舗販売業
  • 配置販売業

簡単に解説しますが、卸売販売業許可を取得すると、全ての種類の診断薬を、薬局や病院、他の販売業者に販売・授与することが出来ます。

店舗販売業許可を取得すると、一般用の診断薬(正式には「一般用検査薬」と呼ばれます。)を、店舗で販売・授与することが出来ます。

配置販売業許可を取得すると、「一般用検査薬」を配置販売することが出来ます。

ジン
ジン
  • 診断薬の置き薬はあまり聞いたことがないですけどねー

※医薬品(診断薬含む)、医療機器、再生医療等製品の販売には、「販売業の許可」が必要です。

化粧品や医薬部外品には販売業の許可というものはありませんので、

誰かが「製造販売」した化粧品や医薬部外品を形を変えずに販売する際には、特別な許可なく販売することができます。

ただし、100mL入りを50mL×2本に小分けしたり(製造行為)、容量を変えずに別の容器に入れ替えたり(製造行為)、輸入したり、自作した化粧品や医薬部外品を販売することは、「製造販売」にあたりますので「製造販売業の許可」が必要です。

製造販売との違い

上の「3.定義のまとめ」でまとめたとおり、「製造販売」とは、製造(輸入)した医薬品を販売または授与することでした。

また、医薬品を国内市場へ出荷すること、と言い換えることもできました。

それに対して「製造」は、医薬品を作ること、「販売」は医薬品を売ることでした。

図で見てみるとわかりやすいかと思います。

図5.「製造」と「製造販売」

図5のA社は、診断薬を製造しているので製造業の登録が必要です。

また、製造販売(国内市場への出荷)もしているので、製造販売業の許可も併せて必要です。

次の図6を見てみましょう。

図6.「製造販売」と「販売」

図6では、まず、A社が卸売販売業者に対して診断薬を製造販売しています。

次に、卸売販売業者は、薬局や店舗販売業者、配置販売業者に対して診断薬を販売(卸売り)します。

それから、薬局や店舗販売業者、配置販売業者は、診断薬を一般消費者(ユーザー)に販売します。

 

このように、製造や製造販売、販売はそれぞれ区別されており、

「製造」→「製造販売」→「販売」

の流れを経ることで、ユーザーに診断薬が行き渡ります。

製造された診断薬が、製造販売や販売のルートを通らずに直接ユーザーに届くことはありません。(お届けしたら医薬品医療機器等法に違反します。)

製造も販売もできるの?

  • 製造をするには製造業の登録
  • 製造販売をするには製造販売業の許可
  • 販売をするには各種の販売業の許可

がそれぞれ必要です。

 

製造販売業の許可を受けていても、製造はできませんし、販売もできません。

逆に、製造業の登録と販売業の許可の両方を受けていても、製造販売はできません。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回は「製造販売」という言葉の意味について解説してきました。

 

「製造」と「販売」との違いは理解いただけましたでしょうか?

 

診断薬を「製造」、「製造販売」、「販売」するにはそれぞれ、

  • 製造をするには製造業の登録
  • 製造販売をするには製造販売業の許可
  • 販売をするには各種の販売業の許可

を受ける必要があります。

 

また、製造販売業の許可を受けていても製造や販売はできないこと、

逆に、製造業の登録と販売業の許可を両方受けていても、製造販売はできないということ、

ご理解いただけましたら幸いです。

 

分からないことがありましたら、お気軽にお問い合わせフォームからご質問ください(^ ^)

 

最後まで読了いただきありがとうございました!

ジン
ジン

本記事はジンの提供でお送りしました!

 

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