体外診断用医薬品の副作用被害救済制度

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医薬品は正しく使っていても、副作用の発生を100%防ぐことはできません。

医薬品を適正に使用したにもかかわらず、その副作用によって重大な健康被害が生じた場合に、医療費や年金などの給付を受けることができる公的な制度があります。

この制度は「副作用被害救済制度」と呼ばれています。

「副作用被害救済制度」が体外診断用医薬品にも適用されるのかどうか、今回調べる機会がありましたので本記事にてまとめてみたいと思います。

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体外診断用医薬品にも適用されるのか?

副作用被害救済制度は体外診断用医薬品にも適用されるのでしょうか?

結論からいってしまうと、「副作用被害救済制度」は体外診断用医薬品には適用されません。

先輩
先輩

以上、終わり!解散!

ジン
ジン

適用されない理由を知りたい方は、下にも目を通していってくださいなー

何が「副作用被害救済制度」の対象になるのかは、「独立行政法人 医薬品医療機器総合機構法」という法律に明記されています。

「副作用被害救済制度」という制度について確認するとともに、どの医療製品が制度の対象となるのか詳しく見ていきましょー

副作用被害救済制度とは

副作用被害救済制度の根拠

副作用被害救済制度は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法(平成14年法律第192号)という法律を根拠に運用されています。

ジン
ジン

PMDA法、機構法と呼ばれる法律ですね!

具体的には、PMDA法の第15条第1項に、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施する業務として規定されています。

機構は、次の業務を行う。
一 許可医薬品等の副作用による健康被害の救済に関する次に掲げる業務
 イ 許可医薬品等の副作用による疾病、障害又は死亡につき、「副作用救済給付」を行うこと。
 ロ 給付の支給を受ける者に養育される18歳未満の者について保健福祉事業を行うこと。
 ハ 拠出金を徴収すること。
 ニ イからハまでに掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

PMDA法第15条第1項(抜粋)
原文は 総務省 e-Gov法令検索 で直接ご確認いただけます。
ジン
ジン

「副作用被害救済制度」は、PMDAが実施している業務のひとつですね。

この条文を根拠にしてPMDAは、副作用による健康被害に対して給付をしたり、制度運営のための財源の確保をしたり、といった業務を実施しています。

副作用被害救済制度の対象製品

続いて、副作用被害救済制度の対象となる医療製品について確認していきたいと思います。

法律中では「定義→定義→定義」と大変複雑な構造になっていますので、理解のために先に図を示します。

図1. 副作用被害救済制度は体外診断用医薬品には適用されない

 

先ほど出てきた条文によると、副作用被害救済制度とは

<副作用被害救済制度>
許可医薬品等の副作用による疾病、障害又は死亡につき、副作用救済給付を行う制度。

ということでした。

PMDA法の中では「許可医薬品等の副作用」という言葉も定義されています。

この法律において「許可医薬品等の副作用」とは、許可医薬品又は許可再生医療等製品(がんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている再生医療等製品であって厚生労働大臣の指定するもの及び専ら動物のために使用されることが目的とされている再生医療等製品を除く。以下「副作用救済給付に係る許可再生医療等製品」という。)が適正な使用目的に従い適正に使用された場合においてもその許可医薬品又は副作用救済給付に係る許可再生医療等製品により人に発現する有害な反応をいう。

PMDA法第4条第10項
原文は 総務省 e-Gov法令検索 で直接ご確認いただけます。

つまり、「許可医薬品等の副作用」とは、「許可医薬品」や「許可再生医療等製品」が原因の有害な反応をいうようです。

ここまでをまとめると、副作用被害救済制度とは

<副作用被害救済制度>
許可医薬品」や「許可再生医療等製品」が原因の有害な反応による疾病、障害又は死亡につき、副作用救済給付を行う制度。

ということでした。

許可医薬品」と「許可再生医療等製品」という言葉が出てきましたので、これら2つの定義についてもPMDA法で確認しておきます。

定義、定義、定義…つらいですね。

ジン
ジン

だいぶ核心に迫ってきましたよ!もうひと踏ん張りです!

この法律において「許可医薬品」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第1項に規定する医薬品(同条第14項に規定する体外診断用医薬品を除く。)であって、同法第12条第1項の規定による医薬品の製造販売業の許可を受けて製造販売をされたもの(同法第14条第1項に規定する医薬品にあっては、同条又は同法第19条の2の規定による承認を受けて製造販売をされたものに限る。)をいう。ただし、次に掲げる医薬品を除く。
 がんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であって、厚生労働大臣の指定するもの
 専ら動物のために使用されることが目的とされている医薬品その他厚生労働省令で定める医薬品

PMDA法第4条第6項
原文は 総務省 e-Gov法令検索 で直接ご確認いただけます。

条文によると「許可医薬品」とは、医薬品の製造販売業者が製造販売承認を受けて製造販売する医薬品のことをいいます。

字面を見るとややこしく感じますが、要は「正規のルートで製造販売された医薬品」ということです。違法に製造販売された医薬品や国内未承認医薬品は「許可医薬品」ではありません。

また、医薬品は医薬品でも次のものは「許可医薬品」ではありません。

やっと対象製品が見えてきました!

ジン
ジン

体外診断用医薬品は対象から外れていることがわかりましたね。まだ許可再生医療等製品の分が残っていますよー

この法律において「許可再生医療等製品」とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第9項に規定する再生医療等製品であって、同法第23条の20第1項の規定による再生医療等製品の製造販売業の許可を受けて製造販売をされたもの(同法第23条の25又は第23条の37の規定による承認を受けて製造販売をされたものに限る。)をいう。

PMDA法第4条第9項
原文は 総務省 e-Gov法令検索 で直接ご確認いただけます。

許可再生医療等製品」の定義は、許可医薬品よりも簡単で「再生医療等製品製造販売業者が製造販売の承認を受けて製造販売する再生医療等製品」です。

許可医薬品」同様ややこしく書かれていますが「正規のルートで製造販売されたすべての再生医療等製品」ということです。

具体的な再生医療等製品の種類は、医薬品医療機器等法施行令別表第2(総務省 e-Gov法令検索)に示されています。

許可再生医療等製品」のうち、下記は副作用被害救済制度の対象から外されています。

  • がんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている再生医療等製品であって厚生労働大臣の指定するもの
  • 専ら動物のために使用されることが目的とされている再生医療等製品

このうち「厚生労働大臣の指定するもの」はまだ指定実績がありませんので、動物用再生医療等製品のみが許可再生医療

まとめると、副作用被害救済制度の対象となるのは、正規のルートで製造販売された全てのヒト用の再生医療等製品と言えるでしょう。

 

ジン
ジン

ようやく定義ゾーンが終わりました。お疲れさまでした。

ここまでを総まとめすると、副作用被害救済制度とは

<副作用被害救済制度>

  • 正規のルートで製造販売された医薬品(体外診断用医薬品、抗がん剤、動物用医薬品、省令で定める医薬品は対象外)
  • 正規のルートで製造販売された再生医療等製品(動物用再生医療等製品を除く)

が原因の有害な反応による疾病、障害又は死亡につき、副作用救済給付を行う制度。

ということです。

先ほどの、図をもう一度出しておきます。

(再掲)図1. 副作用被害救済制度は体外診断用医薬品には適用されない

似ている言葉「生物由来製品感染等被害救済制度」

ちなみに、「副作用被害救済制度」と似た言葉に「生物由来製品感染等被害救済制度」というものがあります。

読んで字のごとくですが、生物由来製品を介した感染等による健康被害等に対して救済がおこなわれる制度です。

PMDA法第15条第1項第2号で規定されています。

 許可生物由来製品等を介した感染等による健康被害の救済に関する次に掲げる業務
  許可生物由来製品等を介した感染等による疾病、障害又は死亡につき、「感染救済給付」を行うこと。
  給付の支給を受ける者に養育される十八歳未満の者について保健福祉事業を行うこと。
  拠出金を徴収すること。
  イからハまでに掲げる業務に附帯する業務を行うこと。

PMDA法第15条第1項第2号(抜粋)
原文は 総務省 e-Gov法令検索 で直接ご確認いただけます。

両者の違いは、

  • 「副作用被害救済制度」は、医薬品等の副作用による健康被害
  • 「感染等被害救済制度」は、生物由来製品からの感染による健康被害

が対象になるということです。

まとめ

本ページでは、体外診断用医薬品が「副作用被害救済制度」の対象になるのかどうかについて、法律を読み解いてきました。

体外診断用医薬品は、副作用被害救済制度の対象とはなりません。

定義うんぬんは複雑すぎて正直どうでもいいですので、制度の対象とならないという事実だけでも覚えてもらえたら幸いです。

ありがとうございました!

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