【2021年8月施行】体外診断用医薬品の基本要件基準(医薬品医療機器等法第41条第3項)

薬機法逐条解説
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体外診断用医薬品には、最低限満たさなければならない基準があります。

この基準は一般に「基本要件基準」と呼ばれ、

基準を満たしていない体外診断用医薬品は、当然に販売や授与をすることができず、さらには販売や授与をするための製造、輸入、貯蔵、陳列も禁止されています。

 

本ページでは体外診断用医薬品の基本要件基準について法令を確認しながらご紹介します。

  • 基本要件基準って何?
  • 第42条第1項の基準との違いは?
  • 基本要件基準はどの場面で利用される?
  • もし基準に適合しない製品を販売してしまったら(罰則)

という疑問をお持ちの方にオススメの記事です。

医薬品医療機器等法の条文

体外診断用医薬品の基本要件基準については、

医薬品医療機器等法の<第41条第3項>に記載されています。

まずは法律の条文を確認してみましょう。

 

<第41条第3項>

厚生労働大臣は、医療機器、再生医療等製品又は体外診断用医薬品の性状、品質及び性能の適正を図るため、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、必要な基準を設けることができる。

令和元年法律第63号による改正後の医薬品医療機器等法(2021年8月1日施行)

それほど難しくない条文ですが、あえて要約すると次のような感じでしょうか。

厚生労働大臣は、体外診断用医薬品が最低限満たすべき基準を設定することができる。
基準設定時には、薬事・食品衛生審議会の意見を聴くこと。

ここで「性状、品質及び性能の適正を図るため」を「最低限」と読み替えてみたのは、第42条第1項の基準との違いを明確にするためです。

どういうことでしょうか?

 

第42条第1項の基準との違い

第42条第1項の基準とは、「保健衛生上特別の注意を要する医薬品の基準」のことです。

「体外診断用医薬品を除く」という記載はありませんので、体外診断用医薬品のことも含まれます。

つまり、第42条第1項では、「保健衛生上特別の注意を要する体外診断用医薬品の基準」について規定されていると解釈することができます。

 

法律全体で見てみると、

第41条第3項では、全ての体外診断用医薬品について最低限満たすべき基準を設定し、

その中でも保健衛生上特別の注意を要する体外診断用医薬品については、さらに必要な基準を設定(第42条第1項)する、

という構造になっています。

図でみるとこんな感じになります。

図1. 法第41条第3項の基準と第42条第1項の基準の関係

なんとなくイメージがわいたでしょうか?

 

本ページでは、第42条第1項の基準との兼ね合いを考慮して、第41条第3項の基準については「最低限満たすべき基準」と表現しています。

基本要件基準とは?

それでは、いよいよ本題に入ります。

基本要件基準とは何なのでしょうか?

法律に則った模範解答は、

体外診断用医薬品の性状、品質及び性能の適正を図るため、厚生労働大臣が、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて設ける基準

ですが、もっと簡単に、

全ての体外診断用医薬品が満たすべき最低限の基準

と覚えてもOKです。

 

基本要件基準は、厚生労働省の告示にて規定されています。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条第3項の規定により厚生労働大臣が定める体外診断用医薬品の基準(平成17年厚生労働省告示第126号)」厚生労働省ホームページ
(注意)この告示は令和3年厚生労働省告示第268号によって一部改正され改正後の告示が2021年8月1日から施行されていますが、記事作成時点ではリンク先は改正前のままになっています。そのうち改正後の告示にアップデートされると思います。

 

全部を解説するのはつらいので、またの機会にしようと思いますが、

危険を管理(リスクマネジメント)しなければならない、
使用者の安全を確保できるような設計・製造をしなければならない、
添付文書(電子添文)によって必要な情報を提供しなければならない、

というような、体外診断用医薬品としての基本的なことが書かれています。

 一部、滅菌体外診断用医薬品や放射性体外診断用医薬品のみに適用される要件もありますが、基本的には全ての体外診断用医薬品は、基本要件基準を満たさなければなりません。

基本要件基準を満たしている(適合している)かどうかは、自社で確認します。

どんな場面で必要になるか

基本要件基準への適合性の確認は、どのような場面で必要になるのでしょうか?

医薬品医療機器等法上では、

基本要件基準に適合しない体外診断用医薬品を販売や授与したり、または販売や授与をするために製造・輸入・貯蔵・陳列することは禁止されています。

 

ですので法令遵守という意味では、販売・授与・製造・輸入・貯蔵・陳列する前に、基本要件基準への適合性を確認するのが確実なのでしょう。

 

とはいうものの、販売するたびに毎回確認していたのでは仕事が回りませんので、少なくとも

  • 製造販売承認申請
  • 製造販売認証申請
  • 製造販売届出
  • 既存の体外診断用医薬品の仕様変更
  • 基本要件基準の改正

の際には、確認しておいた方がよいでしょう。

 

なお上記のうち、製造販売承認申請と製造販売認証申請の際の確認については、

適合性の確認をした証拠(資料)を提出しなければなりません。

(承認申請書に添付すべき資料等)
法第41条第3項に規定する基準への適合性に関する資料

医薬品医療機器等法施行規則第114条の19第1項第2号ニ

(認証の申請)
法第41条第3項又は法第42条第1項若しくは第2項の規定により基準が設けられている場合にあつては、当該基準への適合性に関する資料

医薬品医療機器等法施行規則第115条第2項第2号

基本要件基準への適合性に関する資料を提出する際には「基本要件基準適合性チェックリスト」というものを利用することができます。

基本要件基準不適合品の罰則

もしも、基本要件基準に適合しない体外診断用医薬品を販売してしまった場合、どのような罰則があるのでしょうか?

罰則に関する規定は、医薬品医療機器等法の第18章に記載されています。

基本要件基準に適合しない体外診断用医薬品の販売については、次の罰則が適用されるようです。

3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する

基本要件基準への適合性については、

製造販売承認・認証申請の際には上述の通り、基本要件基準への適合性に関する資料を提出しますので、基本的には心配ないかと思います。

(適合性確認していることを第三者から確認されるため、適合性確認を失念することは、まずあり得ません。)

しかしながら、

  • 製造販売届出
  • 既存の体外診断用医薬品の仕様変更
  • 基本要件基準の改正

の際には、適合性確認の実施の有無を確認してくれる第三者的な存在がいませんので、失念に注意したいところです。

筆者の経験上、特に忘れがちなのが仕様変更をするときです。

仕様変更の際にはバリデーション(検証)を実施するかと思いますので、その手順に基本要件基準への適合性の確認も含めておくと実施忘れはなくなるのかなと思います。

※適合性の確認をしなさいとは法令中のどこにも書いていません。
※基本要件基準に適合していない製品の製造・販売はアウトですよ、ということです。

基準に適合しない体外診断用医薬品をうっかり販売してしまわないよう気を付けたいですね。

まとめ

本ページでは体外診断用医薬品の基本要件基準についてご紹介しました。

基本要件基準に適合していない製品を販売した場合には罰則も存在します。

改正後の基本要件基準が2021年8月1日に施行されましたので、この機会に一度、自社の体外診断用医薬品について適合性確認をしてみてもよいかもしれません。

 

以上です!ありがとうございました!

ジン

総括製造販売責任者に任命されてしまった診断薬メーカーのペーパー薬剤師が日々直面する出来事を乗り越えていくブログです。
 
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